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リレー小説『モミジ』「第一夜・光を求めた軍人」 by瀬口

「……はぁ……はぁ……」
酸素不足で朦朧とする全身を引きずるように走る。
体育館から第一校舎までひたすらに。
春夜の涼しい風が彼女の身体を冷まし、凍えた思考を覚醒させる。
さっきのは幻覚だったのではないのか。
そう自問自答するが、それを否定するように右手の痣が疼く。
体育館にいた彼は何者なのだろうか……。

ーーーー彼女は先ほどまで体育館で部活の後片付けをしていたのだ。
片付け自体はすぐに終わったのだが、あいにく忘れ物をしてしまった。

友人と別れ、暗い道を一人で体育館に向かう途中で、昼休みに食堂で聞いたある会話を思い出した。
『なあ聞いたか○○○○? 夜に体育館に行くと軍服を着た幽霊がいるらしいぜ』
『ばっかじゃないの×□。幽霊なんてアニメの世界にしかいないっての』
『手厳しいな……』
一体誰が話していたかなんてのはどうでもいい。
問題は、さっき、私が体育館でその幽霊をみてしまったことだ。

「…………ッ!」
体育館の舞台の脇に忘れた腕時計を腕にはめ直し外に出ようとすると、強い力で右腕を誰かに掴まれた。
「いたっ……?」
「ぇ……、よこせ……ま、よこせ……」
振り向くと、右手に何か、刀のようなモノを持ったーーーー
「ヒィッ!」
ーーーー首のない、軍服を着たモノの姿が。


それからのことは覚えておらず、ただひたすらに走ってきたことだけが伺えた。
恐怖を抑えつつ後ろを振り返るが、そこには誰もいない。
「はぁ……はぁ……」
ようやく逃げ切れたのか、と安堵の溜息をついた瞬間ーーーー
「あたまをぉぉ……よこせぇぇえ……」
振り向いた後ろには。
「あ……ぁ……」
窓から這入り込む月光を受け煌く軍刀を持つ。
「どうした……早くよこせ……?」
さながら幽鬼のような。
「いや……いや……」
首無しの、軍人が一人。
「あたまを……よこせ……頭をぉぉぉお、寄越せぇぇぇえ!」
幽霊は逃げようとする少女に軍刀を振りかざしーーーー


ひた……ひた……

黒に濡れた軍靴が肌にべたつくような音をたてる。
「ちがう…………。ちがう…………」
どこからともなく掠れた声が吹く。
「どこにいる…………、いとしのあのかたは…………!」










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しなび。

Author:しなび。
なんていうか、もうどうにでもなーれ☆

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面白そうだから入れてみた。今日のカードはこれっ!
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