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【少年?】二重螺旋構造by神父【木崎?】

「「「ごちそうさま」」」
三人の声が重なる。
ウィアドは皿を運び、ミアはその手伝いをしようと席を立つ。
「ウィアド!私も手伝うよ!」
「ん?ありがとうな」
二人の姿が台所に消える。
それを見たラグズは薄くほほ笑む。
その次の瞬間、彼女から表情が消える。
無機質な表情のまま彼女は立ち上がり、本棚から一冊の本を取り出す。
机一杯に広がるのは、継色市の地図。
ラグズは水の入ったコップをつかみ、地図の上で逆さにした。
「L」
その呟きに応じて、水は地図の上を滑るように流れる。
ラグズは目を瞑り、左手をかざす。
彼女が目を開いた時には水は、ある一カ所に溜まっていた。
水が指すのは継色市郊外にある森。
それを見たラグズは唇を歪めさせ、リビングから出て行った。
彼女は玄関にかけてあった黒色のコートを羽織り、更なる深淵へと。
自らの家を、そして子供たちを護るために。









「変わったな。自分も、この町も」
林道を歩きながら、そう呟く。
以前の自分なら、他人の為の行動などしなかったろう。
良い悪いは『佐久間美紀』本人にすら分からない。
これも依り代としているラグズのせいなのか、それともあの少年の影響か。
しかし、今はそんなことどうでもいい。
「…………ここか」
見上げるところには、一つの廃墟が。
そう、森の奥の研究所。
中からは滓かに魔力の流れを感じる。
「ビンゴか」
今までコートに隠していた右手を夜風に晒す。
そして――――
「    」
空白を奏でる。
唇から漏れる吐息は、まるで歌声のように。
突然に空間が光り出した。
彼女は光りに手をさし入れ、中からは何かを取り出した。
それは、輝く蝶のようだった。
金箔の羽をはためかせ、蝶は研究所をすすむ。
その後を追っていくと、ある部屋の前で立ち止まった。
「    」
また、空白を呟く。
本日二回目の無音。
それに呼応するように、扉が開く。
中には魔力が渦巻いている。
その中心には、一つの人影。
「…………何物だ」
声はまるで少年。
影は振り向かずに、ラグズは返答する。
「答える必要を感じない。悪いが、ここで死ね。    」
そしてコートから左手を出し、そのまま『少年』へと向ける。
しかし、左腕を降ろし、
「君は、何物だ」
“ありえない”発言をした。
唐突な延命に少年は内心訝しがりながら、
「私か?私はきざ……」
「違うな」
そう、切り裂いた。
「おまえは木崎じゃない。いいかげん解けているんだろう?」
そして続ける。
「そうだろ殺人鬼。おまえは木崎によって操られた被害者のふりをしている加害者にすぎない」
「……そだ」
「認めろよ。木崎は力を与えただけだ。街の人間を殺したのはおまえだ。殺戮を楽しんでいたのはおまえだ。責任を果たせよ」
「嘘だっ!」
そう少年は叫び、ラグズに飛びかかる。
その動きはとても人間のそれとは思えない瞬発力だった。


しかし――――


その体はどこからか流れてきた水の縄によって、拘束されていた。
「チェックメイトだ」
ラグズがそう声をかける。
詰んだはずの少年は苦しげな息の中、だがにやりと笑い、
「があぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!」
己が闇を見いだし、その名を思い出す。
体に触れていた魔術は一瞬で溶け、その魔力は霧散した。
まるで、公園で真枝を苦しめた時のように。
「――――成る程な。覚醒者か」
だが、ラグズは落ち着き払い、
「ならばどちらにせよ、救いはなかった……か」
少年の身体に異変が起きた。
その体は見る見る内に乾ききり、全身は一瞬で灰になった。
そう。
ラグズは既に手をうっていたのだ。
彼女は彼――――正確にはその血液のなかに存在する遺伝子。
それに細工をした。
その呪いは、遺伝子の中にあるDNAの急速な劣化。
最初に水で縛った時、いやもっとずっと前。
その前に左手をかざした時。
勝負は最初から決まっていたのだ。
彼女は自らの腕を押さえながら、熱い息を吐く。
その余韻の冷める間もなく。
彼女はコートのポケットから携帯を取り出し、
「もしもし、禅譲か。ラグズだ。木崎はまだ生きているぞ」


そして、物語りは更なる螺旋を駆け上がる。

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しなび。

Author:しなび。
なんていうか、もうどうにでもなーれ☆

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