スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

二重螺旋構造 by神父

――旅立ち、そして別れ

ウィアドを待ち受ける運命とは!?
二重螺旋構造
 最終章

 『Air』

代筆 Xcel



そうと決まった後の行動は素早かった。
必要最低限の物だけを持ち、長年過ごした我が家をあとにする。
早朝の町は静かで、鳥の声さえ聞こえなかった。
微かな既視感(イワカン)が脳裏をよぎるが、ウィアドは頭を振ってそれを追い出した。
道を考えているとミアが訊ねてきた。
「どこに向かうの?」
「空港。そこからロンドンの親父のところに行ってみる」
「切符とかは?」
「有り金は全部持ってきた。いざとなったら禅譲からクレジットカード借りればいいし」
「……まぁ非常事態だからな。こちらも最大限の協力はしよう」
苦虫を噛み潰したような顔で頷く律。
金を使うのがあまり好きじゃないらしい。
「そういえば真枝さんは?」>思い出したようにミアが訊ねる。
「パスが繋がったままだから生きてはいるんだろう。これが終わったら先輩たちと一緒に回収に来るか」
適当だな……、と呟くウィアド。
しかし次の瞬間、緊張した面持ちで辺りを窺う。
素人のミアはまだ状況が掴めないようだ。
混乱しながらもウィアドに引っ張られその背中に隠れる。
気が付けば熱いとけるような町中にマナが渦巻いている。
まるで溶解炉の中にほうり込まれたような気分。
「どうやらここ一帯の魔力が誰かに占領されているようだな」
律の言葉にウィアドがつぶやく。
「マナの独占…………まさか固有結界?」
「いや、正確にはその模造品だな。先輩のような現実への侵食がない。まぁおかげで木崎の居場所が大体把握できた」
「へぇ、なんで?」
「ようは魔術回路の応用なんだがな。魔力を生成する時にマナの流れが把握できるんだよ」
「そうなのか。俺は魔術回路なんて使わないからな」
そういえばそうだったな、と律は思い出したように呟く。
「マナはあっちの駅を越えた方から流れてきているぞ」
「あっちっていうと……灯台か」
継色市には三本のレイラインが通っている。
森から沸き出し、そこから教会、住宅街、灯台にそれぞれ流れている。
一カ所を制圧すればこの地において絶大な影響力を持てる。
ますます木崎のウィアド達に対するアドバンテージが増えた。
「どうする…‥?場所は分かった。ならば逃げるか、それとも立ち向かうか。やるなら今しかない」
律はウィアドに試すように聞く。
しばらく――と言っても数秒だが――考え、ウィアドは決断した。
「よし分かった。俺と律で木崎を倒す。ミアは家に入って隠れていてくれ」
その言葉を聞き律は賛同するように頷き、ミアは怒るように両手を振り上げた。
「何でよ!私だって役に立ちたいのに!」
「お前な……攻性魔術まったく使えないくせに」
「うー……感応魔術なら」
「駄目だ駄目だ。さっさと中に入れ」
にべもないウィアドの言い分に身の程を知ったのか渋々俯きながら、
「…………分かったわよ」
そう言ってとぼとぼと歩きだす。
その陰気な背中を見ながら、
「良かったのか?」
「何がだ」
知っているくせに問い返す。
「まぁ彼女の事を一番に考えると確かに最善かもしれないな。だが同時に“ミア”の事を一番に考えると……少なくとも最善ではないだろう」
「そうかもな。でもま、俺らがあいつを倒せば全部終わりだろ」
そう言ってウィアドは灯台に向けて歩きだす。
その陰気な――まるで先程のミアのような――背中。
それを見て律は、
「まったく、素直じゃないな。そういえばなんて言ったかな……この前先輩が何か言ってたような…………」
まぁいっか、とだけ呟きその背中を追いかけた。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

しなび。

Author:しなび。
なんていうか、もうどうにでもなーれ☆

最新コメント
最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
エルミナージュⅢ
遊戯王which?
面白そうだから入れてみた。今日のカードはこれっ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。