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【Trinity Age】 ティンダロスにご用心!  【TRPG二次小説】

Preludio
  静かな夜だった
 うす暗い店内は近くに寄らねば人の顔の判別も、難しいかもしれない。
 微かに聞こえるクラシックは、退廃的なこの時代を象徴するかのように、ゆるや
 かに終わりを迎えている。

 ズズッ……
 少女が紅茶をすする横を一匹のクジラが横ぎった。

 そのクジラは、店内をゆったりと泳ぐと、壁をすりぬけ、夜へと消えていった。

 ここはコーパスサイドの奥深く、『裏新宿地区』にあるBar「Brother」
 ※な店主によって揃えられた調度品は、本物と見まごうほどの光沢と重みによ
り、落ち着いた雰囲気をかもしだしている。

 ネットワークの成熟にともない、世界は現実であるオーパス、仮想空間である
コーパスへと別れた。

 ネットワークといえども、そのアバターは普通の人間と寸分違わない。
 ……まあ、容姿や髪色の奇抜さに少々目をつぶらなくてはいけないが。

 ここ、『新宿13街区』にもオーパスではしにくいイメージチェンジを楽しむ
人々があふれている。
 彼、もしくは彼女は、基本は髪の色や目の色、肌の色等のカスタマイズしか
出来ないが、《フリーク》と呼ばれる人々は自らの肉体から人種までを
自由に変える事も可能だという

 買い物客は、商品を手にとり着心地や味を確かめると、ウインドウを開き、
 カートへと入れていく。

 カートに入れた商品は24時間いないに自宅へと郵送されるのだ。

 今や国民の生活と切っても切れぬ存在となったコーパスだが、その秘匿性ゆえ
、犯罪や秘密の会合に使われる事も多い。

 この少女も、そうした例外の一人だ。

 「ん……」

 男物のスーツを着こなした少女は時間を気にするように辺りを見渡す。
 店内に置かれた時計は、規則的に時をきざみ、長針と短針がまもなく12を
指し示めそうとしていた。

 カチッ

 時計が日付の変更を伝えると共に、一人の男が店内に滑り込むように入ってき
た。

 「……相変わらず時間通りですね」

 現れた長身の男は、その白髪とは対称的なサングラスを押し上げると
 ゆっくりと少女の待つ丸テーブルへと歩み寄ってきた。

 「まさか、あなたから私に話しがあるなんて。珍しいですね。
  日本支部の方々との会食は、どうでしたか?」

 カチャン

 少女がカップを置くと同時に、男も歩みを止めた。
 静かな店内の中程で、二人の視線が交差する。
 一時の静寂を破ったのは、マスターであるラインホルトがグラスを磨く音だった。

 本来この時間帯は愚痴を言う客や、眠れず、されど着替えて飲みに行くのが
面倒な客達で賑わいを見せている頃だ。

 だが、白髪の男、ブリジッド・ヒューバートンが会議の終わりに、
 珍しく話しがあると話しかけて来たために、
 馴染みの店主であるラインホルトに無理をいって会合場所として貸し切りにして
もらったのだった。

 「……お嬢様が、この様な飲み場を指定するとは思いませんでした。
よく、ここへ?」

 見た目にふさわしい低いバリトンの声が響きわたった。

 「それなりにね。特に隅の席はマスターからは暗くてよく見えないから
  長居してもばれないし。強いていうなら味が薄いところが気に入らないわ」


 そういいつつ机の陶器の壺を開け、白い粉を紅茶にスプーン三杯も投入し、
再び紅茶を飲み始める。
 そんな少女を諭す様に、ブリジッドは口を開いた

 「お嬢様の事は、ロルフ様からまかされているのです。
  仮にもハドリアヌス社元社長の義娘にあたるのだから、
  この様な飲み場に通うのは、止めてはもらえませんか?」

 ガチャン!

 雑に置かれたせいか、
 こぼれた雫がソーサーとテーブルにラインを描いていく。

 「誰のせいであたしの
   お父様とお母様はーーーーっ!」

 そう激情的に叫びそうになるのを、紅茶を思い切り飲み干す事で抑える。
 

 「何度も言っているけど私をお嬢様と呼ばないで。
  胡蝶でもイリーネとでも好きな様に呼びなさいよ。
  それに、義父さんが亡くなったいま、あたしはもうお嬢様じゃないわ」

 そして、息を短く吸い込み、

 「……いまの社長は、あなた達取締役会が大好きな、ハインツじゃないの」

 ため息と共に、そう、呟いた。

 「っ……!」

 ブリジッドは、その鍛え上げられた肉体を緊張させながら、何かを反論しよう
 と口を開けたが、やがて肩を落とし、全身を弛緩させた。

 「今日は、お嬢様に渡したい物があり、この様な機会を頂きました」

 その全てを諦めた表情は、彼を五つは老け込ませて見せた。

 「時間の都合がなかなかつかず、夜も更けた 
  時間になってしまい、申し訳ございません」


 そう言いつつも右手は素早くウインドウを操作し、茶封筒をもしたデータファイルを
取り出した。

 「……マスター、すまないが、少々席を外してもらってもかまわないかね?」

 ラインホルトは、一度、軽くうなずくと店の奥へとさっていった。

 「ありがとう、マスター。……これが、渡したい物です」

 大股に近寄ると、丸テーブルの汚れていないスペースへと茶封筒を滑らせた。

 「……ん、クラッキングの後も、ウイルスの可能性もないわね。受け取りましょう」

 軽く手をかざし、何かを確かめるように2、3回つつくと茶封筒を手にとり、中のテキストファイルを開いた。

 「報告書?…………っ!、これは、本当なの!?」


 そのテキストの内容は、義父が殺された時間にビルの周りで
 不審な動きを見せた集団の一人を発見、拘束して情報を吐かせた、
 という物だった。
 
  
 そして上がってきた組織の名は、
 
 『三柱永冶』《トリニティ・エイジ》

 この組織の大元は、第二次世界対戦の頃に発足され、日独伊の力で連合を
世界を倒し、永劫の冶世を!
 という 目的のもと、
 各地でテロ活動を行っていたとある組織である。
 
 戦後、アメリカ、ソ連、イギリスを中心とした国連軍によって完膚なきまでに
 解体され、消滅したと考えられていたが、風の噂として、残党がいくつかに別
 れ、いつか覇権を取り
 戻すために今は力を蓄えて潜伏してるというものだった。
 語られている噂としては、日本の『三柱永冶』、ドイツの『ワルプルガ』、イ
 タリアの『クゥイリヌス』
 の三種だ。
 
 このうち存在が確認がされているのは、ドイツの『ワルプルガ』のみだった。
 これらはいずれも3の数字を関していることでしられている
 日本の三柱は、『造化』イタリアのクゥイリヌスは国家の三柱を形成する『神』で
 ある。
 そしてドイツの『ワルプルガ』とは4月30日の魔女の祭典であり、
 第二次世界大戦で、かの アドルフ・ヒトラーが自殺して、『死の天使』となった日付
 である。
    

 「……それが、下っ端が吐いた情報の全てです」

 この組織についてブリジッドは、親友だったロルフから、
 一つ聞かされていたことがあった。
 それは、『胡蝶・イリーネ・バインリヒの両親を巻き込み、彼女からも
 右半身の多くを奪ったあのテロが、
 参柱永冶の残党によるものである可能性がある』というものだった。

 当時の彼は、まさか、と笑い飛ばした。
 そのような巨大組織の残党がなぜ今になって活動を始める?
 きっと敵対企業が我々の力を削ぐために、中東辺りのテロ組織に依頼をしたの
 だ。
 そのような噂は、真に受けない方がいい。
 テロについては査察部に事件を調べさせている。彼らの目ならば、
 どの組織がやったかもいずれ割り出すはずだ。 情報で生きてきたわれらが、
 見つけられぬはずがない。
 そうなれば、後は企業軍を動員して、叩きつぶせばいい。それが俺の仕事だか
 らな。
 ……そう、ロルフに話していた。

 しかし、結果はどうだ。

 ロルフのいう組織の名が、出てきたのだ。
 その長きに渡る沈黙を破ったのは、ロルフが殺された夜だ。
 偶然というには、タイミングが合いすぎる。
 参柱永冶か、それを騙る偽物か。
 実行犯なのか、手を貸しただけなのか……。
 消えたはずの噂も、ロルフが死んだ事により、尾ひれがついて社員の間を
 流れた。
 胡蝶の両親と、義父を奪ったなぞの組織として。

 この事を、本来は言うべきではなかったのかも知れない。
 しかし、賢しい彼女はいずれ知ってしまうだろう。
 あるいは、すでに知っているのではないか、そう思い、
 ふと、注視した。

 胡蝶は、青ざめていた。
 瞳は揺れ、唇は血の気を失い、キュッっと引き結ばれていた。
 体は、こらえようとする震えを、こらえきれずにいた。

 「知って、いたのですね。噂を」

 動揺する胡蝶の目をしっかりと見据え、ブリジッドは言い放つ。

 「この情報が本当なのかはわかりません。
  下っ端は、最期まで嘘をつき続けたのかも知れない、
  本当の事を話したのかも知れない、
  味方から騙されて偽の情報を握らされたまま、切られたのかも知れない。
  ……しかし、私の立場ではこれ以上に事件の深部を調べる事は不可能なの
  です」

 カチャリ

 そして、サングラスを外し、座っている胡蝶に目線を合わせるように片膝をつい
 た。

 「ですが、お嬢様はお強い方だ。早くに両親を亡くし、更にはロルフまで亡くして
  しまった。
  だが、職場ではその悲しみをおくびにも出さずに、
  立派に働いていらっしゃる。
  別に無理に強制するわけではありません。でもお嬢様ならば、きっと
  真実へ辿り着けるでしょう。」

 そういうブリジッドの姿は、胡蝶に、幼きころに両親と近所の家族といっしょに遊
 んだ公園を思い出させた。
 公園の名も知らぬ花々で作った花冠を自慢げに父にプレゼントした、
 大切な思い出だ。
 母からお返しにもらった花冠をかぶり、手を広げて、クルクルとまわりながら
 喜ぶ私の姿をみて、浮かべていた両親の微笑を彷彿とさせるような、
 暖かく優しい眼差しをしていたのだ。

 「あっ……」

 父の友人が始めてみせた一面に、呆然としているうちにブリジッドは踵を返し、
 バーの外へと向かって歩きだしてしまった。

 「えっと、その、まって!」

 慌てたために引き止めるような声が出たのがたまたま功をそうしたのか、
 彼は出口の手前で止まり一度だけ振り返った。

 「まずは、仲間を作りなさい。助言をくれ、
  共に戦ってくれる仲間を作りなさい。
  その人物が信用に足るかを己の目で見極めなさい。
  仲間が悩んでいる時は、手を差し伸べ、きちんと話を聞きなさい。
  そして共に悩みなさい。
  そうすれば、私のようにはならないでしょう。 
  そして、もしも、どうしようもなく困った時でも、きっと仲間が支えてくれるはずで
  す。」

  フッ と彼の口が、微かに微笑を浮かべた気がした。

 「おしゃべりな私は、終わりです。明日からは、いつもの私に戻り、
  ハドリアヌス社を支える柱となりましょう。
  今日の事は、誰にも話してはいけません。信用できると確信した仲間にのみ、
  伝えなさい」

  その意味を噛み締める間に、彼はコートを翻し、コーパスの闇へと消えていった。
  震えは、止まっていた

Preludio 完


 
 ナチスの《死の天使》とはなにかの解説書い
 とくね

 これは、数秘学において、生年と没年の数字を構成する個々の数を全部加算する
 ことにより、
 もとめられる。ヒトラーの生年と没年は1889と1945、求められる数字は45であ
 り、9の5倍である。さらに、この数は没年の下2桁とも合致する
 神秘学では『9』は『死』の象徴であり、999は神を表し、666は獣をあらわす。
 よってヒトラーの数、99999は彼が『死の天使』である証だと、神秘学、数秘学
 では言われてるんだ

 引用:ブライアン・ラムレイ著 タイタス・クロウの事件簿にて
 

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いやー本番が楽しみですな!
あと取り巻きの設定出来たら目処が立つね!

そういやバーの名前はどうすんの?
プロフィール

しなび。

Author:しなび。
なんていうか、もうどうにでもなーれ☆

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